スイフトスポーツからシルビアに乗り換えて早々に感じた事、それは電子部品の進歩がすごく進んでいるということでした。
ドアに触れるだけでドアがアンロックされたり、ロックされるのが当たり前。しかも最近だとスマートフォンでそれができてしまう。
しかしシルビアは90年後半の車。その時代の車にはそんな技術はありません。キーレスエントリーという鍵の根本にボタンがついているものが一般的でした。
このキーレス、久しぶりに使うととても使いにくい。わざわざカバンから鍵を出さないといけなくてとても不便。また壊れたらもう部品は出てきません。
たまたま仕事でTESLA model3やHonda eの機能を触って、スマホで鍵の開閉ができる事がとても便利で、これは作って使いたいと考えるようになり、実際に作ってみました。
技術調査
本当にできるのかどうか、整備書を入手して確認しました。整備書を見ると、古い車はシンプルなマイコン制御のよう。信号のHIGHとLOWで状態を確認、それに応じて制御を実行するという構成になっている事がわかります。
車が側の信号は簡単なので、BLE通信ができる基板と命令を送るスマホアプリを作れば実現はできる見込みが立ちました。
システム設計
技術調査ができたところで、どんなシステムにすればいいか検討をします。とはいえ、今回はとてもシンプルな仕組みになりそうです。BLEで通信して、マイコンで制御をするだけです。それをもとにやりたいことをまとめると以下のような構成になります。
基板設計
システムが決まったら、kicadを使って基板の設計をします。基板自体はとてもシンプルで、今回はATmega328pとBGX13Sという Bluetooth Low Energey用のモジュールを使いました。この二つのICをUartで通信し、スマホと通信をします。また受信したデータをもとに12V系の信号を制御します。
それで出来上がった基板がこちらです。出来上がるまでに4回も作り直ししました。
ちなみに車に取り付けるにあたり、ポン付け(無加工での取り付け)ができるようハーネスも作りました。シルビアのキーレスに使われているコネクターを探すと意外と売られている事がわかり、早速購入。整備書でピンアサインを確認しながら作りました。また元々のキーレスでも使えるように工夫。この基板をつけていても、純正キーレスが使える状態にしました。(とはいえ、まだ完璧ではありません・・・)
また最近の車には当たり前についているアンサーバック機能、こちらもシルビアの鍵の施解錠時に通知が欲しいと思い、社外のアンサーバックシステム Lock音を制御できるようにしました。
これでドアの施錠命令、解錠命令時に音がなるようにしました。
基板ができたらスマートフォンアプリやマイコンの開発を行います。
スマートフォンアプリの開発
スマーフォンアプリ開発では単にロック、アンロックができるようなボタンを用意するだけではなく、BLEの電波強度を活用したり、Siriの活用、またApple watch対応といったこともできるようにしました。
また将来的にリリースしてもいいように、実はセットアッププロセスなんかも作ってみました。
他の機能は実際に動画を見ていただけると動きがわかると思います。
最後に
作って実際に利用しているものの、BGX13Sの不具合でアドバタイズできなくなったり、ドアの開閉状態確認をするGPIOはこの基板を接続すると薄らと点灯しているなどまだいくつか課題はあります。まだMVPという感じのプロダクトなので、もう少しブラッシュアップのために基板の修正を変更する必要がありそうです。